アーチェリーを続けていると、いずれ「自分で矢を作ってみたい」と思うタイミングが来ますよね。そんな時、ベテランの道具箱の中に必ずと言っていいほど入っている、一見すると不思議な形のプラスチック製品――それがBeiter(バイター)のトライライナーです。
今回は、この「一見地味だけど、実は魔法のような道具」について、少しお話ししようと思います。
完璧主義者が生んだ「線の魔法」
まず、この道具を作っている「バイター社」について。
創設者のヴェルナー・バイターさんは、もともと精密な金型を作る職人でした。彼の口癖は「正確でないものは、アーチェリーの道具ではない」というもの。*要約
昔のアーチェリー界では、羽を貼る位置は「だいたいこの辺」という感覚に頼る部分もありました。でも、バイターさんは「それではいけない」と考えたんです。風を切って飛ぶ矢にとって、3枚の羽が「正確に120度」で配置されていないことは、わずかな空気抵抗のズレを生み、それが的の上では数センチの差になって現れます。
そこで開発されたのが、このトライライナーです。ジグ(羽貼り器)に頼るのではなく、まずシャフトそのものに「完璧な基準線」を引いてしまおう!と言う斜め上の発想から生まれた道具なんです。
ちなみにショップやHPなどで青いプラスチック製のよくわからない形をしたおもちゃみたいなの、これ何?と思った人、多いと思います。何するやつ?どう使うの?え?!まぁまぁ高いのね。など。。。
このトライライナー。1990年代に登場して以来、約30年。そこから形がほとんど変わっていません。これって、当初から完成されていたっていう証拠ですよね。すごいです、ホント。
驚くほど簡単なプロの作業ステップ
「難しそう」と思うかもしれませんが、使い方は拍子抜けするほど簡単です。初心者の方でも、次の3ステップだけで高精度が実現します。
- ノックを固定する: トライライナーの端にあるホルダーに、矢のノックを差し込みます。これで準備完了。
- 3本のガイドで矢を挟む :3方向からガイドバーを倒して矢を挟みます。
- 線を引く: ガイドバーに沿って油性のホワイトペンなどでスッと線を引くだけ。コツはペン先に力を入れすぎない事。
たったこれだけで、シャフトに完璧な120度/3本のラインが出来上がります。あとはその線に合わせてスピンウィングなどのテープを貼るだけ。目分量で悩む時間はもう終わりです。
「たまにしか使わない」からこその価値
正直に言うと、トライライナーは毎日使う道具じゃありません。一度矢を作ってしまえば、次に羽を貼り替えるまで出番はないでしょう。でも、ここが一番大事なポイントなのですが、アーチェリーで最も恐ろしいのは「自分の矢が1本1本バラバラであること」なんです。
練習で「今の射は良かった!」と思っても、もし矢の羽の位置が微妙にズレていて外れたのだとしたら、自分の実力が正しく評価できませんよね。トライライナーが担保してくれるのは、単なる作業の効率ではありません。「12本すべてが、機械のように均一である」という絶対的な自信です。
「道具のせいにはできない」という環境を作ることは、上達への一番の近道。自分の矢に絶対の信頼を置けるようになると、リリースの迷いが消えていくのがわかるはずです。
もし道具箱にまだ入っていないなら、ぜひ手にとってみてください。ドイツの職人がこだわった「本物の精度」が、あなたのグルーピングをきっと一段階引き上げてくれるはずですよ。
トライライナーは当店HPで販売中です(^^)/